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定款に何を書くのか|東京で会社設立するときの定款の中身と電子定款の実務

会社設立 東京 公証役場 定款認証 48時間 編集:合同会社commit / 合同会社FIELD 共同編集部
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この記事は、定款に何を書くのか知りたい方に向けたものです

会社設立の準備で最初にぶつかるのが定款です。「定款を作ってください」と言われても、何を書けばよいのか分からないという方は多いはずです。

この記事は、東京都内で会社設立をしようとしていて、定款の中身を知っておきたい方に向けて書いています。必ず書く事項、書いておくと効く事項、そして東京で本店の書き方が後の手続きにどう関わるかを整理します。会社設立の代行を頼む場合も、何を決めることになるのかを知っておくと相談が速く進みます。

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定款に必ず書く事項

定款の絶対的記載事項を示すイラスト

定款には、必ず書かなければならない事項があります。株式会社の場合、商号、目的、本店の所在地、設立に際して出資される財産の価額またはその最低額、発起人の氏名または名称および住所です。

これらはひとつでも欠けると定款が無効になります。公証人の認証も受けられません。会社設立の代行を頼む場合、この部分は必ず確認されるので抜けることはありません。

そのほかに、発行可能株式総数も定款で定めるか、設立までに発起人全員の同意で決める必要があります。日本公証人連合会の説明にも、定款に定めを置くべき事項として「商号、本店、会社の目的、会社の組織構成、発行可能株式総数及び株式の内容、株券発行の有無、株主総会の手続、役員の責任に関する事項、事業年度及び剰余金の配当に関する事項など多岐にわたる」と示されています。

合同会社の場合は、目的、商号、本店の所在地、社員の氏名または名称および住所、社員全員が有限責任社員である旨、社員の出資の目的およびその価額または評価の標準が必要です。合同会社には定款認証がないので、作った定款をそのまま登記の添付書類にします。

東京で会社設立をする場合、この5つのうち本店の所在地がとくに重い意味を持ちます。設立登記の申請先も、特定創業支援等事業の証明書を出してもらう区市町村も、設立後の届出先も、すべてこれで決まるからです。

定款に必ず書く事項のチェックリスト
3つ目が、東京ではとくに重い項目です。

出典:日本公証人連合会「9-4 定款認証」(2026年9月時点)

本店の所在地の書き方は2通りあります

本店の所在地の書き方を示すイラスト

定款に書く本店の所在地には、書き方が2通りあります。最小行政区画まで書く方法と、番地まで書く方法です。

東京の23区なら「東京都渋谷区」まで、多摩地域なら「東京都八王子市」までが最小行政区画になります。この書き方にしておくと、同じ区内で移転する場合に定款の変更が要りません。

ただし、定款で最小行政区画までしか書かない場合は、発起人全員で本店の所在場所を決定した旨の書面が必要になります。東京の司法書士事務所のサイトにも、「定款で本店所在地を最小行政区画までしか記載していない場合には、発起人全員で本店所在地を決定した旨を記録した決定書が必要です」と説明されています。

番地まで書く方法だと、この決定書は要りません。そのかわり、同じ区内で移転しても定款の変更が必要になります。移転の可能性があるなら最小行政区画まで、動かないつもりなら番地まで、というのが目安です。

なお、どちらの書き方でも登記される本店は番地まで入ります。定款の書き方と登記の記載は別のものです。東京は区をまたぐと管轄の登記所も変わることが多いので、区内の移転か区をまたぐ移転かで手続きの重さが違ってきます。

本店の所在地の2つの書き方を比べた図解
移転の見通しで決めるのが素直です。

出典:東京法務局「不動産登記/商業・法人登記の管轄区域一覧」(2026年9月時点)

目的の書き方

定款の目的の書き方を示すイラスト

定款の目的は、その会社が何をする会社かを示すものです。会社設立の後に事業を追加する場合、目的に書いていなければ変更登記が必要になります。

変更には株主総会の特別決議が必要で、変更登記には登録免許税もかかります。そのため、近い将来にやる見込みのある事業まで書いておくのが定石です。

日本公証人連合会の定款作成支援ツールでは、事業目的の入力欄が15項目まで用意されています。2024年2月1日に、それまでの5項目から15項目に拡張されました。小さな会社でも複数の事業を書けるようになっています。

許認可が必要な事業の場合は、書き方に作法があります。行政庁が求める言い回しになっていないと、許認可の申請で目的が足りないと判断されることがあります。建設業、宅地建物取引業、人材派遣業などが該当します。会社設立の前に、行政書士か所管の行政庁に確かめてください。

一方で、目的を書きすぎるのも考えものです。関係のない事業がたくさん並んでいると、金融機関が法人口座の開設を審査するときに「何をする会社か分からない」と見られることがあります。東京の税理士法人のサイトにも、金融機関が事業目的や資本金、本店所在地を重視しているという指摘があります。

定款の目的の書き方の目安をまとめた図解
多すぎず、少なすぎずが難しいところです。

出典:日本公証人連合会「9-4 定款認証」(2026年9月時点)

商号は、同じ住所に同じ商号がないかを調べます

商号の調査を示すイラスト

商号(会社の名前)は原則として自由に決められますが、同じ住所に同じ商号の会社があると登記できません

東京は会社の数が多いので、この点に注意が必要です。帝国データバンクの調査によると、2025年に東京都で設立された法人は4万9,274社で、うち23区が4万4,975社を占めました。市区郡別では港区が7,472社で全国最多です。

とくに気をつけたいのが、バーチャルオフィスを本店にする場合です。同じ住所に多くの会社が登記されているので、同じ商号の会社がすでにある可能性が高くなります。

調べ方は、登記情報を確認するか、会社設立の代行を頼んでいる場合は依頼先に調べてもらうことになります。東京の司法書士事務所のサイトにも、会社設立の流れのなかで「同じ商号の会社が同じ住所にないかを調べます」という工程が示されています。

また、有名企業と紛らわしい商号や、不正の目的で他社と誤認させるような商号は避けてください。会社設立の後に商号の変更を求められることになると、変更登記の費用がかかるだけでなく、名刺やウェブサイトの作り直しも発生します。

商号を決めるときに調べることのチェックリスト
1つ目だけは、必ず調べてください。

出典:東京法務局「管轄のご案内(商業・法人登記)」(2026年9月時点)

電子定款にすると、収入印紙4万円が不要になります

電子定款で印紙代が不要になることを示すイラスト

定款には、紙で作るものと電磁的記録で作るものがあります。後者が電子定款です。日本公証人連合会のページには、「株式会社や相互会社の定款の認証については、電子定款によらない場合には、収入印紙4万円を公証人保存原本に貼付します」と書かれています。

そして「会社であっても電子定款による場合や特定目的会社の定款については、収入印紙は貼付する必要はありません」と続きます。つまり電子定款にすれば4万円が浮きます

合同会社にも同じことが当てはまります。合同会社には定款認証がありませんが、紙の定款を作れば収入印紙は必要です。電子定款にすれば不要になります。

電子定款を作るには、PDFに電子署名をする環境が必要です。マイナンバーカードとカードリーダー、対応するソフトを使います。東京の行政書士事務所の説明では、業務用の電子証明書をそろえると約10万円かかり、発行までに1か月くらいかかるとされています。

そのため、電子定款の作成と認証だけを専門家に頼むという選び方があります。東京の事務所には、このプランを1万円台で出しているところもあります。会社設立の全部を頼まなくても、この部分だけ切り出して頼めば4万円が浮きます。

電子定款で浮く金額を示した図解
1社のために環境をそろえるのは割に合いません。

出典:日本公証人連合会「Q3 定款の認証に要する費用、株式会社設立の費用等はいくらですか。」(2026年9月時点)

定款作成支援ツールという選択肢

定款作成支援ツールを示すイラスト

日本公証人連合会は、法務省の協力のもとで定款作成支援ツールを公開しています。2023年12月26日に公開されたもので、小規模でシンプルな形態の株式会社をスピーディーに設立したいという起業者のニーズに応えるために作られました。

発起人1名用と発起人3名以下用の2種類があります。発起人1名用は特に小規模でシンプルな会社を想定したもので、発起人3名以下用はやや選択項目と定款記載事項が多くなっています。

このツールで作った定款であることが、定款認証の手続を原則48時間以内に完了させる48時間特別処理の条件になっています。48時間特別処理用のツールでは、申出書も併せて作成できます。

ただし、公証人連合会自身が注意を促しています。「このツールを利用して作成された定款案は、あくまでも、小規模でシンプルな形態の会社のものとして想定される一つの例にとどまる」とされていて、定款にどのような事項を定めるかはよく検討するよう求められています。

なお、48時間特別処理で速く終わるのは定款認証の手続です。会社設立が完了するのは設立登記が終わったときなので、登記の完了は別に、登記所の処理日数がかかります。会社設立の代行を頼むときに示される日数が、定款認証までなのか登記申請までなのかは確かめてください。

つまり、誰にでも合う定款ではありません。複雑な株式の設計をしたい場合や、複数の出資者で持分を細かく決めたい場合には向きません。会社設立の代行を頼む場合は、自分の会社にこのツールの定款が合うかどうかを相談してみてください。

定款作成支援ツールの要点をまとめた図解
誰にでも合う定款ではない点に注意してください。

出典:日本公証人連合会「スタートアップ支援のための、定款認証に関する新たな取組について」(2026年9月時点)

定款で決めておくと後が楽になること

定款で決めておくとよいことを示すイラスト

必ず書く事項のほかに、定款で決めておくと後が楽になることがあります。代表的なのが事業年度と機関設計です。

事業年度は、決算をいつ締めるかを決めるものです。3月決算にしなければならないということはありません。繁忙期を外し、会社設立の日から見て1期目がどれくらいの長さになるかを見て決めます。

機関設計は、取締役会を置くか、監査役を置くかといった話です。取締役会を置かないことが、定款認証が1万5,000円になる条件のひとつです。一人社長の会社なら取締役会は置かないのが普通なので、自然にこの条件を満たします。

株式の譲渡制限も、多くの中小企業の定款に入っている定めです。株式を譲渡するときに会社の承認を要する、という内容です。知らないうちに株主が変わることを防げます。

公告の方法も定款で決めます。株式会社には決算公告の義務があるので、官報に載せるのか、電子公告にするのかを決めておきます。会社設立の後に変更することもできますが、そのときは変更登記が必要です。

定款で決めておくことのチェックリスト
2つ目が、費用にも効いてくる項目です。

出典:国税庁「青色申告書の承認の申請」(2026年9月時点)

定款は後から変えられますが、費用がかかります

定款変更の費用を示すイラスト

定款は、会社設立の後でも変更できます。日本公証人連合会も「会社設立後に定款を変更することは可能ですが、その場合には株主総会の特別決議を必要とするなど所定の手続が必要になります」と説明しています。

登記事項に関わる変更なら、変更登記も必要です。商号、目的、本店、公告の方法、機関設計などが該当します。変更登記には登録免許税がかかりますし、司法書士に頼めば報酬も加わります。

一方、登記事項でない部分の変更なら、株主総会の決議と議事録の作成で済みます。事業年度の変更などがこれに当たります。

つまり、会社設立の時点で決めておけば書くだけで済むものが、後からだと手続きと費用になるということです。とくに目的の追加は起こりやすいので、近い将来の見込みまで入れておく意味があります。

会社設立の代行に頼む場合、定款の案は依頼先が作ります。そのときに「こういう事業も将来やるかもしれない」と伝えておけば、目的に入れてもらえます。代行に丸投げするのではなく、自分の事業の見通しだけは自分の言葉で伝えるのが、うまくいくコツです。

ただし、最初から完璧を目指す必要もありません。事業が変わるのは自然なことですし、そのときに定款を変えるのも普通のことです。会社設立の段階で決めきれないことは、決めきれないままにしておいて構いません。

定款を後から変える場合の手続きをまとめた比較図
4つ目だけは、登記が要りません。

出典:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」(2026年9月時点)

まとめ

記事のまとめを示すイラスト

定款には必ず書く事項があります。株式会社なら商号、目的、本店の所在地、設立に際して出資される財産の価額、発起人の氏名と住所です。ひとつでも欠けると定款が無効になります。

東京で会社設立をする場合、本店の所在地がとくに重要です。設立登記の申請先も、特定創業支援等事業の証明書を出してもらう区市町村も、設立後の届出先も、すべてこれで決まります。定款には最小行政区画まで書く方法と番地まで書く方法があり、移転の見通しで選びます。

電子定款にすれば収入印紙の4万円が不要になります。自分で電子署名の環境をそろえるのは割に合わないので、電子定款だけを専門家に頼むという選び方もあります。会社設立の代行に一式で頼む場合は、報酬に含まれることがほとんどです。

記事の要点を3つにまとめた図解
2つ目が、東京ならではの重みです。

出典:日本公証人連合会「Q3 定款の認証に要する費用、株式会社設立の費用等はいくらですか。」(2026年9月時点)

定款は、会社のルールブックです

定款は、会社を運営するときに従うべき根本的なルールです。日本公証人連合会も「定款に定めを設けた場合には、その定款の内容に従って事業を運営することが求められ、定款に違反した場合には法的な責任が問われることもある」と説明しています。

だからこそ、会社設立の時点で少し時間をかける価値があります。書類の一枚として片付けず、自分の会社をどう運営したいかを考える機会として使ってみてください。

とはいえ、最初から完璧なものを作る必要はありません。定款は後から変更できます。手続きと費用はかかりますが、変えられないものではありません。東京には会社設立を扱う専門家が数多くいるので、分からないところは相談しながら進めてください。

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