許認可がいる事業を東京で始めるなら|会社設立の前に行政書士に相談する理由
会社設立の手続きだけを見ると、定款を作って登記を申請するだけの話です。ところが許認可が必要な事業だと、会社設立の時点で決めた内容が、そのまま許認可の可否に関わります。後から気づくと、定款の変更登記からやり直すことになります。
この記事は、東京都内で建設業・宅地建物取引業・人材派遣業・飲食業・古物商などを始めようとしていて、そのために会社を作る方に向けて書いています。会社設立の前に確かめておく項目と、行政書士に相談するタイミングを整理します。
本サイトは広告およびアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。許認可の要件は業種ごとに細かく決まっています。実際の判断は必ず所管の行政庁か行政書士にご確認ください。
01許認可がいる事業は、思っているより多い

会社設立の相談で「許認可は要りますか」と聞かれて、自分の事業が該当するかどうか分からない、という方は少なくありません。実際、許認可が必要な業種は広く、意外な事業が含まれていることもあります。
代表的なものを挙げると、建設業、電気工事業、宅地建物取引業、人材派遣業、有料職業紹介事業、飲食業、食品製造業、古物商、産業廃棄物収集運搬業、旅行業、医療機器の販売業、酒類の販売業などがあります。インターネットで中古品を売る事業も古物商の許可が必要になることがあります。
許認可には、届出だけで済むもの、登録が必要なもの、許可を受けなければならないものがあり、重さが違います。会社設立との関係でいうと、許可を受けるタイプのものほど、事前の設計が効いてきます。資本金や純資産の額が要件になっていたり、有資格者を置くことが条件になっていたりするからです。
東京で会社設立の代行を頼むとき、許認可の有無を最初に伝えておくと、その代行が許認可まで扱えるかどうかがすぐ分かります。扱えない場合でも、許認可に強い事務所を紹介してもらえることがあります。
厄介なのは、事業の中身によって該当するかどうかが変わる場合です。たとえば同じ「ものを売る」事業でも、扱う品目によって許認可が要るものと要らないものがあります。自分の事業がどちらなのかは、所管の行政庁か行政書士に確かめるのが確実です。
会社設立の代行を頼むときに、「こういう事業をやります」と具体的に伝えておくと、許認可の話が必要かどうかを教えてもらえることがあります。業種を「コンサルティング業」のようにぼかして伝えると、この確認が抜けてしまうので、正直に伝えるほうが得です。

出典:法務局「商業・法人登記の申請書様式(株式会社設立登記)」(2026年9月時点)
02定款の目的の書き方が、許認可に効いてきます

会社設立のときに定款に書く「目的」は、その会社が何をする会社かを示すものです。許認可の申請では、この目的に該当する事業が書かれているかどうかが見られます。目的に書いていない事業について許可を求めても、通りません。
書き方にも作法があります。行政庁によっては、決まった言い回しを求めることがあります。たとえば建設業なら「建設業」とだけ書くのではなく、実際に営む工事の種類が分かる形で書くことが求められる場合があります。この作法は業種ごとに違うので、許認可を扱う行政書士に相談する意味があります。
会社設立の後に目的を追加するには、株主総会の特別決議が必要です。そのうえで変更登記を申請し、登録免許税を納めます。手続きとしては難しくありませんが、費用と時間はかかります。設立の時点で書いておけば、書類に一行足すだけです。
会社設立の代行に定款を作ってもらう場合も、目的の文言は自分で確かめてください。代行の側は事業の中身を全部は知らないので、許認可の窓口が求める言い回しになっているかどうかは、東京都や区市の所管課に一度当てて確かめるのが安全です。
だからといって、関係のない事業まで並べればよいというものでもありません。目的が多すぎると、金融機関が法人口座を開設するときの審査で「何をする会社か分からない」と見られることがあります。近い将来にやる見込みのあるものに絞るのが現実的です。
日本公証人連合会の定款作成支援ツールでは、事業目的の入力欄が15項目まで用意されています。2024年2月に5項目から15項目に拡張されたもので、小さな会社でも複数の事業を書けるようになっています。

出典:日本公証人連合会「9-4 定款認証」(2026年9月時点)
03資本金の額が要件になっている許認可があります

許認可のなかには、資本金や純資産の額が要件になっているものがあります。この場合、会社設立のときに資本金をいくらにするかが、そのまま許可を取れるかどうかに関わります。
会社設立の費用だけを見ると、資本金は小さいほうが有利です。定款認証の公証人手数料は、資本金の額等が100万円未満なら3万円、3要件を満たせば1万5,000円になります。100万円以上300万円未満なら4万円、それ以外は5万円です。つまり資本金を抑えると手数料が下がります。
ところが許認可の要件を満たすために一定額が必要な場合、手数料の安さを優先すると許可が取れません。後から増資するには、株主総会の決議と変更登記が必要で、登録免許税もかかります。会社設立の時点で必要な額にしておくほうが、結局は安く済みます。
資本金の額は、法人都民税の均等割の区分にも関わります。23区内に事務所を置く法人で、資本金等の額が1,000万円以下・従業者50人以下なら、均等割は年額7万円からです。また、資本金1,000万円以上だと設立初年度から消費税の課税事業者になります。
東京で会社設立の代行に見積もりを出してもらうときは、許認可の要件で必要な資本金の額を先に伝えてください。代行の側は、費用を抑えるために資本金100万円未満をすすめることがあります。それ自体は親切な提案ですが、許認可の要件と噛み合わないことがあります。
つまり資本金は、定款認証の手数料、許認可の要件、法人都民税の均等割、消費税の扱い、そして対外的な信用という5つの観点で同時に決めることになります。許認可がある事業の場合は、まず要件を確かめてから、他の観点で調整するという順番が自然です。

出典:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」(2026年9月時点)
04本店の場所が要件になることもあります

許認可のなかには、事務所の実態が要件になっているものがあります。宅地建物取引業なら独立した事務所の形が求められますし、業種によっては設備や広さの基準があります。
この点で気をつけたいのが、バーチャルオフィスを本店にする場合です。会社設立の登記そのものはバーチャルオフィスの住所でもできますが、許認可の要件を満たさないことがあります。東京はバーチャルオフィスの選択肢が多いので、許認可がある事業の場合は先に確かめてください。
本店の場所は、許認可以外にも効いてきます。東京では本店の区市で設立登記の申請先が決まります。23の登記所が商業・法人登記を扱っていて、庁の名前と管轄の区が一致しない庁もあります。また、特定創業支援等事業の証明書は本店を置く区市町村のものが必要です。
設立後の届出先も本店の区市で決まります。都税事務所、年金事務所、労働基準監督署、ハローワーク。この4つはそれぞれ区の分け方が違います。許認可の窓口もまた別なので、本店を決めるときはこれらをまとめて確かめておくのが効率的です。
本店を後から移転すると、変更登記が必要です。東京は区をまたぐと管轄の登記所も変わることが多いので、手続きが重くなります。許認可の届出もやり直しになることがあります。会社設立の時点で腰を据えられる場所を選んでおくのが、いちばん安く済みます。

出典:東京法務局「不動産登記/商業・法人登記の管轄区域一覧」(2026年9月時点)
05行政書士に頼むと、定款と許認可を続けて見てもらえる

許認可を扱うのは行政書士の仕事です。そして定款の作成と電子認証も行政書士が扱えます。つまり会社設立の定款と、その後の許認可を続けて頼めることになります。
登記申請の代理は司法書士の独占業務なので、行政書士事務所が会社設立を受ける場合は、提携する司法書士が登記を担当します。東京の行政書士事務所の公式サイトには「提携している司法書士が管轄法務局へ代理申請し、会社設立・法人設立(一式)の費用には司法書士報酬も含まれている」と書いているところがあります。
この形だと、依頼する側は行政書士とだけやりとりすれば済みます。許認可の要件を踏まえた定款を作ってもらい、登記は提携先が進め、会社ができたら続けて許認可の申請に入る、という流れです。
多摩地域の行政書士事務所のなかには、会社設立と建設業許可を並べて扱っているところもあります。「重任登記や許認可の更新・変更などの期限管理も無料で行う」と書いている事務所もあり、許認可のある事業では更新の管理まで含めた付き合いになります。
電子定款についても、行政書士に頼めば収入印紙の4万円が不要になります。「行政書士による電子認証ですので、印紙代の4万円が節約できます」と書いている事務所があります。会社設立の費用の面でも、許認可の面でも、行政書士から入る意味がある形です。
| 事業者 | 拠点 | 管轄の登記所 | 代行手数料 | 電子定款 | 顧問契約の要否 |
|---|---|---|---|---|---|
| 多摩シェルパ行政書士事務所 | 日野市(無料相談室:日野市神明2-14-1。千代田区岩本町と川崎市麻生区にも相談室) | 東京法務局 立川出張所(日野市の管轄) | 株式会社120,000円、合同会社100,000円、一般社団法人120,000円、NPO法人200,000円(公式サイトの表示) | 対応。行政書士による電子認証のため印紙代4万円が節約できると記載 | 税務顧問契約の条件はなし。提携司法書士が管轄法務局へ代理申請し、その報酬も費用に含まれると記載 |
| 東京会社設立・起業サポート | 渋谷区(東京都渋谷区南平台町15-12 南平台AIEビル3F) | 東京法務局 渋谷出張所 | 0円(公式サイトの表示) | 対応。電子定款で印紙代40,000円を節約できると表示 | 手数料0円は会社設立後に税理士顧問契約を希望する人が対象と公式サイトに明記 |
| 会社設立代行センター(小川行政書士事務所) | 葛飾区(東京都葛飾区堀切4-9-17) | 東京法務局 城北出張所(葛飾区の管轄) | このページでは報酬額の明示を確認できず | 対応。電子定款認証により収入印紙代4万円が不要になると説明 | 税務顧問契約の条件はなし(行政書士事務所) |
※ 2026年9月時点の各社公式サイトの表示にもとづきます。記載がない項目は「公式サイトに記載なし」としています。料金・条件は変わることがあるため、申し込む前に必ず公式サイトで確認してください。掲載は当サイト調べです。

出典:日本公証人連合会「Q3 定款の認証に要する費用、株式会社設立の費用等はいくらですか。」(2026年9月時点)
06許認可には時間がかかります。設立日から逆算してください

許認可の申請は、会社ができてからでないとできないものが多くあります。法人として申請するので、登記事項証明書が必要になるからです。つまり会社設立の後に、さらに審査期間が乗ることになります。
審査にかかる期間は業種と行政庁によって違います。東京の行政書士事務所のサイトには、業種ごとの審査期間の目安が載っていることがあります。たとえば建設業許可の新規申請(知事許可)で1〜2か月といった記載です。
事業を始めたい日が決まっている場合は、そこから逆算します。許認可の審査期間、会社設立の登記完了までの期間、定款認証の期間、そして特定創業支援等事業の受講と証明書の交付。これらを足すと、思ったより前から動き始める必要があると分かります。
会社設立を急ぐ方法として、定款作成支援ツールを使った場合に定款認証の手続を原則48時間以内に終える運用(48時間特別処理)や、そこから設立登記まで含めて原則72時間以内に終える運用があります。ただしこれは定款認証と登記の話で、許認可の審査期間を短くするものではありません。
許認可がある事業では、会社設立を早く終わらせることより、要件を満たした形で会社を作ることのほうが大事です。急いで作った会社が要件を満たしていなければ、そこからやり直すぶん、かえって遅くなります。

出典:デジタル庁「法人設立ワンストップサービス」(2026年9月時点)
07株式会社か合同会社かも、許認可の観点で見てみる

許認可の要件として「株式会社であること」が求められることは、一般的にはありません。合同会社でも許認可は取れます。会社設立の費用は合同会社のほうが軽いので、許認可がある事業でも合同会社を選ぶ余地はあります。
東京で会社設立をする場合の実費は、株式会社が16万5,000円から、合同会社が6万円からです。この差は10万円以上あります。本店を置く区市の特定創業支援等事業の証明書があれば、株式会社は9万円から、合同会社は3万円からになります。
一方で、取引先が株式会社を求めることはあります。建設業なら元請けとの取引、人材派遣業なら派遣先との取引で、会社の形態を見られる場面が出てくることがあります。これは制度の話ではなく、商習慣の話です。
帝国データバンクの2025年の調査では、全国で設立された合同会社は4万4,998社で前年比6.8%増、2000年以降で最多となりました。株式会社は10万591社です。合同会社が選ばれる理由として、設立費用の軽さと経営の自由度が挙げられています。
東京の会社設立の代行のなかには、株式会社と合同会社の両方の料金を並べて出しているところが多くあります。許認可の要件を満たすほうを選んだうえで、その形態での総額を出してもらうと比べやすくなります。
許認可がある事業の場合は、所管の行政庁に「合同会社でも申請できますか」と確かめておくのが確実です。そのうえで、取引先の性質を見て決めてください。会社設立の費用の差は10万円ですが、取引の入口で止まるほうが損失は大きくなります。

出典:帝国データバンク「2025年「新設法人」動向調査」(2026年9月時点)
08許認可がない事業でも、行政書士に頼む場面はあります

許認可が要らない事業でも、行政書士に頼む場面があります。電子定款の作成と認証だけを切り出して頼む形です。
紙の定款には収入印紙が4万円必要ですが、電子定款なら不要です。ただし電子定款を作るにはPDFに電子署名をする環境が要ります。葛飾区の行政書士事務所の公式サイトには、「電子証明書の発行やシステムの導入などで約10万円の費用がかかる。また電子証明書を発行するまでに1か月くらいかかる」と書かれています。
そこで、電子定款の部分だけを行政書士に頼み、登記は自分で申請するという組み合わせが成り立ちます。東京の事務所には、この形のプランを全国一律の料金で出しているところもあります。
会社設立の費用をいちばん軽くしたい場合、この組み合わせは有力な選択肢です。登記の申請はオンラインでできますし、国の法人設立ワンストップサービスを使えば設立後の届出もまとめて出せます。
ただし、自分で申請すると補正が入ることがあります。補正が入ると登記の完了が遅れるので、設立日を指定したい場合や急いでいる場合は、会社設立の代行にまとめて頼んだほうが結果的に早いこともあります。

出典:日本公証人連合会「Q3 定款の認証に要する費用、株式会社設立の費用等はいくらですか。」(2026年9月時点)
09まとめ

許認可がいる事業で会社設立をする場合、定款の目的の書き方、資本金の額、本店の場所の3つが要件に関わります。会社設立の後に直すと、株主総会の決議や変更登記が必要になり、費用と時間がかかります。
そのため、許認可の確認は会社設立より前に置いてください。行政書士に相談すれば、要件を踏まえた定款を作ってもらえます。登記申請は司法書士の独占業務なので、行政書士事務所に頼む場合は提携する司法書士が担当します。
東京は事業者の数が多いぶん、許認可を扱う行政書士事務所も23区にも多摩地域にもあります。会社設立と許認可を続けて頼めるところなら、書類のやりとりも一つの窓口で済みます。事業を始めたい日から逆算して、早めに相談してください。
会社設立の代行を選ぶときの目安をもう一度書いておきます。許認可がある事業なら行政書士から入る、登記だけを確実に頼みたいなら司法書士から入る、設立後の税務まで任せたいなら税理士法人から入る。東京にはどの入口も十分な数があるので、自分の事業に必要なものから逆に選んでください。

出典:法務省「商業・法人登記のオンライン申請について」(2026年9月時点)
許認可がいる事業の会社設立でいちばんもったいないのは、順番を間違えたことによるやり直しです。定款の目的を書き直す、資本金を増やす、本店を移す。どれも会社設立の前なら書類に書くだけで済むのに、後からだと登記と費用が発生します。
だから、許認可が必要かもしれないと思ったら、会社設立の相談より先に許認可の相談をしてください。行政書士に「この事業をやりたいのですが、許認可は要りますか」と聞けば、必要な要件を教えてもらえます。そこから逆算して定款を作れば、二度手間がありません。
東京は事業者の数が多いぶん、許認可を扱う行政書士事務所も23区にも多摩地域にもあります。会社設立と許認可を続けて頼めるところなら、書類のやりとりも一度で済みます。自分の事業に必要なものを確かめてから、依頼先を決めてください。
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