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東京の会社設立をオンラインで申請する|手段の違いと、本店移転で管轄が変わるとき

会社設立 東京 法務局 出張所 登記申請 編集:合同会社commit / 合同会社FIELD 共同編集部
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この記事は、オンラインで会社設立を進めたい方に向けたものです

会社設立の登記は、オンラインで申請できます。登記所に行く必要はありません。ただし、オンラインで申請する手段は1つではありません。国のサービスもあれば、登記の専用システムもあります。

この記事は、東京都内で会社設立をしようとしていて、できるだけオンラインで済ませたい方に向けて書いています。手段の違いと、それぞれで何ができるのかを整理します。あわせて、会社設立の後に本店を移転して管轄が変わる場合の話も扱います。

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オンラインで申請する手段は2つあります

オンライン申請の2つの手段を示すイラスト

会社設立の登記をオンラインで申請する手段は、大きく2つあります。ひとつが登記・供託オンライン申請システムで、もうひとつが法人設立ワンストップサービスです。

前者は登記の専用システムです。申請用総合ソフトをダウンロードして使います。司法書士が実務で使っているのもこちらです。電子定款の送信にも使われます。

後者はデジタル庁が提供しているもので、マイナポータルから設立登記の申請と、設立後の各種届出をまとめて出せます。税務署への法人設立届出書や、年金事務所への新規適用届なども同じ流れで出せるのが特徴です。

自分で会社設立を進める場合、どちらを使うかは設立後の届出まで一度に出したいかどうかで決まります。登記だけならどちらでもよく、届出までまとめたいならワンストップサービスが向いています。

電子定款そのものも、オンラインで公証役場に送ることになります。2024年3月1日からは全国すべての公証役場で、電子定款の認証における面前審査をウェブ会議で行うことが原則になりました。つまり定款認証も登記申請も、画面の前で完結します。東京は公証役場が45か所ありますが、都内に本店を置くなら都内のどの役場でも認証を受けられます。

どちらの場合も、マイナンバーカードと電子署名の環境が必要です。カードリーダーか、対応するスマートフォンを使います。会社設立の代行を頼む場合は、依頼先が申請するので自分で環境をそろえる必要はありません。

2つのオンライン申請を比べた図解
設立後の届出まで出すなら、右が向いています。

出典:法務省「商業・法人登記のオンライン申請について」(2026年9月時点)

法人設立ワンストップサービスでできること

法人設立ワンストップサービスを示すイラスト

法人設立ワンストップサービスは、マイナポータル上で法人設立の手続きをまとめて行える仕組みです。会社設立の登記の申請だけでなく、設立後の届出も同じ流れで出せます。

会社設立の後に必要な届出は、税務署への法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書、都道府県と市区町村への法人設立届、年金事務所への健康保険・厚生年金保険新規適用届などがあります。これらを個別に出すと、それぞれ様式を用意して提出することになります。

ワンストップサービスなら、共通する情報は一度の入力で済みます。会社設立の直後は手続きが集中する時期なので、この仕組みは実務的にありがたいものです。

東京都に対する法人設立・設置届出書も対象に含まれます。23区内の法人は都税事務所に出せば足りるので、出し先が1つで済むのも東京の利点です。多摩地域などの市町村部だと、都税事務所と市役所の両方に出す必要があります。

注意したいのは、登記所の受付時間です。受付時間を過ぎた申請は翌業務日の受付になるので、設立日を指定したい場合は時間に余裕をみてください。会社の設立日は登記を申請した日になるためです。

ワンストップサービスで出せるもののチェックリスト
会社設立の直後は、この5つが集中します。

出典:デジタル庁「法人設立ワンストップサービス」(2026年9月時点)

自分で申請する場合に必要なもの

自分で申請するために必要なものを示すイラスト

自分でオンライン申請をする場合、まず必要になるのがマイナンバーカードと電子署名の環境です。カードリーダーか、対応するスマートフォンを使ってPDFに電子署名をします。

日本公証人連合会のページには「マイナンバーカードでPDFに電子署名する手順」という資料が用意されています。定款作成支援ツールの説明と併せて公開されているので、自分で電子定款を作る場合はここを見るのが早道です。

ただし、東京の行政書士事務所の説明では「電子定款を作成する場合、電子証明書の発行やシステムの導入などで約10万円の費用がかかる。また電子証明書を発行するまでに1か月くらいかかる」とされています。これは業務用の電子証明書の話ですが、1社のためだけに環境をそろえるのは割に合わないという指摘です。

そこで現実的なのが、電子定款だけを行政書士に頼み、登記は自分で申請するという組み合わせです。収入印紙の4万円は確実に浮きますし、登記の申請はワンストップサービスで進められます。

合同会社なら定款認証が不要なので、電子定款を作る手間はあっても、公証役場とのやりとりは発生しません。自分でオンライン申請まで進めるなら、合同会社のほうが工程が少なくて済みます。会社設立の実費も、登録免許税の6万円が中心になります。

書類の内容を自分で確かめる目も必要です。不備があると補正の連絡が来て、そのぶん登記の完了が遅れます。会社設立が初めてなら、書き方の細かいところで指摘を受けることは覚悟しておいてください。

自分で申請するために必要なものをまとめた図解
3つ目が、実は意外と大事です。

出典:日本公証人連合会「スタートアップ支援のための、定款認証に関する新たな取組について」(2026年9月時点)

会社設立の代行に頼む場合、申請は依頼先が行います

代行が申請を行う様子のイラスト

会社設立の代行を頼む場合、オンライン申請は依頼先が行います。自分でマイナンバーカードや電子署名の環境をそろえる必要はありません。

登記申請の代理ができるのは司法書士だけなので、司法書士事務所に頼めばその事務所が、行政書士事務所や税理士法人に頼めば提携する司法書士が申請します。東京の事務所の公式サイトにも「登記申請は提携司法書士事務所が対応します」と書かれています。

この場合、自分がやるのは書類への署名と、印鑑証明書の準備、資本金の払込くらいです。本店の区市を管轄する登記所がどこかも、依頼先が確かめてくれます

ただし、本店の住所は区市まで正確に伝えてください。東京は庁の名前と管轄の区が一致しない庁があるので、住所が曖昧だと確認のやりとりが増えます。城南出張所は大田区、城北出張所は足立区と葛飾区、渋谷出張所は渋谷区と目黒区、というように覚えにくい対応があります。

急いでいる場合は、定款認証と設立登記を合わせて原則72時間以内に完了させる運用があります。完全オンライン申請と登録免許税の電子納付、補正がないことなどが条件です。会社設立の代行に頼むときに、この条件を満たす形で進められるかを聞いてみてください。

代行に頼む場合の分担を示した流れ図
電子署名の環境をそろえる必要はありません。

出典:東京法務局「不動産登記/商業・法人登記の管轄区域一覧」(2026年9月時点)

本店を移転すると、管轄が変わることがあります

本店移転で管轄が変わることを示すイラスト

会社設立の後に本店を移転すると、変更登記が必要になります。このとき、管轄の登記所が変わるかどうかで手続きの重さが違います。

東京は23の登記所が商業・法人登記を扱っていて、17の庁が23区を分担しています。ほとんどの区が1つの庁に対応しているので、区をまたいで移転すると管轄も変わることが多くなります。

同じ庁の管轄内で移転するなら、管轄は変わりません。たとえば渋谷区から目黒区への移転は、どちらも渋谷出張所の管轄です。千代田区から中央区、中央区から文京区も、どちらも本局の管轄です。墨田区と江東区、北区と荒川区、足立区と葛飾区も同じ庁です。

多摩地域では、府中支局が8市、立川出張所が7市、田無出張所が5市を扱っているので、同じ庁の管轄内で移転できる範囲が広くなります。たとえば武蔵野市から三鷹市、調布市から府中市への移転は、どちらも府中支局の管轄です。

会社設立の時点でこれを知っておくと、「将来この辺りに移るかもしれない」という見通しがある場合に、同じ庁の管轄内で収まる場所を選ぶという判断ができます。とはいえ、これだけで本店を決めるものではありません。

同じ庁の管轄内で移転できる組み合わせの比較図
この範囲なら、移転しても管轄は変わりません。

出典:東京法務局「管轄のご案内(商業・法人登記)」(2026年9月時点)

移転すると、届出先も変わります

移転で届出先が変わることを示すイラスト

本店を移転すると、登記所だけでなく届出先も変わることがあります。そして東京では、窓口ごとに区の分け方が違います

23区の法人事業税・法人都民税の課税事務は、9つの都税事務所が分担しています。たとえば大田区は品川都税事務所、江東区は中央都税事務所、世田谷区は渋谷都税事務所、練馬区は豊島都税事務所です。本店の区にある都税事務所が所管とは限りません。

年金事務所は基本的に区ごとにありますが、台東区は上野年金事務所、豊島区は池袋年金事務所という名前です。そして杉並区・中野区に本店を置く会社の健康保険・厚生年金保険の届出先は新宿年金事務所です。

労働基準監督署は18署で、署名と区名が違うものが多くあります。港区は三田署、北区は王子署、墨田区と葛飾区は向島署、江東区は亀戸署、品川区と目黒区は品川署、渋谷区と世田谷区は渋谷署です。ハローワークは17か所で、港区と品川区はハローワーク品川、江東区と江戸川区はハローワーク木場です。

つまり移転のたびに、これら4つの窓口を確かめ直すことになります。会社設立の時点で本店を慎重に決めておく理由のひとつが、これです。

移転時に確かめる窓口のチェックリスト
5つとも、区の分け方が違います。

出典:東京都主税局「23区内の法人事業税・法人都民税等にかかる所管区域について」(2026年9月時点)

移転にかかる費用

本店移転にかかる費用を示すイラスト

本店移転の登記には登録免許税がかかります。管轄の登記所が変わる場合と変わらない場合で、額が変わります。国税庁の税額表で確かめてください。

司法書士に頼む場合は報酬も加わります。東京の事務所の料金表には、「市町村の住居表示実施による本店住所の変更は22,000円」といった項目まで示しているところがあります。住居表示の実施による変更は自分の意思で移転したわけではないので、料金を分けている事務所があるということです。

また、賃貸借契約の変更、法人口座の住所変更、取引先への通知、名刺やウェブサイトの修正など、登記以外の作業も発生します。費用より手間のほうが大きいことも少なくありません。

移転の登記そのものは、会社設立の登記より簡単です。ただし管轄が変わる移転だと、旧管轄と新管轄の両方に関わる手続きになるので、申請の形が少し複雑になります。会社設立のときと同じように、司法書士に頼むこともできます。

許認可がある事業だと、許認可の届出もやり直しになることがあります。事務所の要件が定められている許認可では、移転先が要件を満たすかどうかの確認も必要です。

そして、本店を置く区市町村が変わると、特定創業支援等事業の証明書の効力も関係してきます。この証明書は本店を置く区市町村のものでなければ登録免許税の軽減を受けられません。会社設立の時点で、住所を借りる区と受講する区がずれていないかを確かめてください。

本店移転で発生するものをまとめた図解
3つ目が、実は時間を取ります。

出典:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」(2026年9月時点)

会社設立の時点で、住所をどう決めるか

本店の住所を決めるイラスト

ここまでの内容を踏まえると、会社設立の本店をどこに置くかは、思ったより多くのことを決めていることが分かります。

登記所、都税事務所、年金事務所、労働基準監督署、ハローワーク。そして特定創業支援等事業の証明書を出してもらう区市町村。許認可がある事業なら、事務所の要件も関わります。

理想を言えば、変えないで済む場所を選ぶのがいちばんです。自宅を本店にするなら引っ越しの予定を、事務所を借りるなら契約期間を、バーチャルオフィスなら事業の成長に合わせて移る可能性を考えてみてください。

とはいえ、事業が伸びれば移転することはあります。そのときに手続きが発生するのは仕方のないことです。会社設立の時点で完璧に決めきる必要はありません。知ったうえで決める、というだけの話です。

東京は本店の選択肢が非常に多い土地です。23区にも多摩地域にも、事務所を借りる選択肢も、バーチャルオフィスを使う選択肢もあります。帝国データバンクの調査では、2025年に東京都で設立された法人は4万9,274社、うち23区が4万4,975社を占めました。選択肢が多いぶん、決め方の基準を持っておくと迷いが減ります。

本店を決めるときの基準のチェックリスト
1つ目に答えを出しておくと、後が楽になります。

出典:中小企業庁「会社設立時の登録免許税の軽減について」(2026年9月時点)

まとめ

記事のまとめを示すイラスト

会社設立の登記はオンラインで申請できます。手段は登記・供託オンライン申請システムと法人設立ワンストップサービスの2つがあり、設立後の届出までまとめて出したいならワンストップサービスが向いています。

自分で申請するにはマイナンバーカードと電子署名の環境が必要です。電子定款だけを行政書士に頼んで、登記は自分で申請するという組み合わせもあります。会社設立の代行に頼む場合は、申請は依頼先が行うので自分で環境をそろえる必要はありません。

そして東京では、本店の区市が管轄を決めます。移転すると管轄も届出先も変わることがあるので、会社設立の時点で腰を据えられる場所を選んでおくのが、いちばん安く済みます。

記事の要点を3つにまとめた図解
3つ目が、東京ならではの注意点です。

出典:デジタル庁「法人設立ワンストップサービス」(2026年9月時点)

オンラインでできることは、年々増えています

定款認証のウェブ会議が原則になり、設立登記の申請もオンラインでできて、設立後の届出も国のサービスでまとめて出せる。会社設立でわざわざ窓口に行く場面は、以前よりずっと少なくなりました。

それでも自分でやるには準備が要ります。マイナンバーカードと電子署名の環境、そして書類の内容を自分で確かめる目です。この2つがそろっているかどうかで、自分でやるか代行に頼むかを決めるとよいと思います。

そして東京では、本店の区市が管轄を決めます。会社設立の時点で腰を据えられる場所を選んでおけば、移転にともなう手続きも費用も発生しません。住所は後から変えられますが、変えないで済むならそれがいちばんです。

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